漢字の読みを無視して、漢字の意味をつなげてできた熟字訓。
漢字の意味を無視して、漢字の読みをつなげてできた当て字。
どちらも知らないと読めないものが多く、受験に向けた中高生や漢検学習者を困らせています。
特に、漢検1級では大問5で熟字訓・当て字だけで10題出題されるため、ある程度の知識量は備えておきたいところ。
この記事では、鳥に関する熟字訓・当て字を約80個、解説付きで紹介します。
紛らわしい漢字の組み合わせや、同じ読みをする熟字訓についてもまとめているため、知識の整理にお役立てください!
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鳥の熟字訓・当て字一覧表
漢検 漢字辞典 [第二版]に載っている2000以上の熟字訓・当て字の中から、鳥に関するものだけを抽出しました。
※太字になっている熟字訓・当て字は、過去の漢検1級本試験にて出題されたものです。
漢字※ | 読み | 解説(広辞苑や漢検漢字辞典より) |
赤翡翠 | あかしょうびん | カワセミの一種。赤色の嘴が長くて大きいのが特徴。 |
緑啄木鳥 | あおげら | キツツキ目キツツキ科アオゲラ属に分類される鳥類。日本固有種。 体の背や翼の上面は暗緑色で腹には横じま模様がある。 |
蒿雀 | あおじ | スズメよりちょっと大きい小鳥。頭は暗緑色で、目の周りは黒色。背は暗褐色で、胸・腹は緑がかった黄色をしている。 |
緑鳩 | あおばと | ハト目ハト科アオバト属に分類される鳥。和名は緑色の体表や、繁殖期の鳴き声が「アーオアオ」と聞こえることに由来するといわれる。 |
花鶏 | あとり | 鳥綱スズメ目アトリ科アトリ属に分類される鳥類の一種。 |
家鴨 | あひる | カモ科の鳥。「鶩」とも書く。 |
信天翁 | あほうどり | アホウドリ科の鳥。特別天然記念物として、国際的に保護されている。 |
斑鳩 | いかる | アトリ科の鳥。低山にすむ。「いかるが」とも読む。「鵤」とも書く。 |
交喙 | いすか | スズメ目アトリ科に分類される鳥類の一種。 |
善知鳥 | うとう | ウミスズメ科に分類される海鳥の一種。 |
蒼鷹 | おおたか | タカ目タカ科に属する鳥類で中型の種。由来は羽の色が青みがかった灰色をした鷹を意味する「蒼鷹」から。 |
鴛鴦 | おしどり | カモ科の鳥。水辺にすむ。雌雄の仲が良い。 |
媒鳥 | おとり | 鳥を捕らえようとするとき、誘い寄せるために使う同類の鳥。 |
鶏冠木 | かえで | カエデ科の落葉高木の総称。葉がニワトリのとさかに似ていることから。 |
黄鶏 | かしわ | 羽毛が茶色のニワトリ。ニワトリの肉。 |
金糸雀 | カナリア | アトリ科の小鳥。カナリア諸島原産。 |
慈鳥 | からす | カラス科の鳥の総称。成長すると親鳥に餌を運んでいつくしむことから。 |
魚狗 | かわせみ | カワセミ科の鳥。川にすむ。背は青緑色、腹は赤褐色の羽が生えている。名は翡(赤羽)と翠(青羽)を持つ鳥であることから。 |
翡翠 | ||
水狗 | ||
魚虎 | かわせみ、 はりせんぼん | 【かわせみ】カワセミ科の鳥。 【はりせんぼん】ハリセンボン科の海魚。頭がトラに似ていることから。 |
雉子 | きじ | キジ科の鳥。林や草原にすむ。国鳥。「きぎす・きぎし」とも読む。 |
啄木鳥 | きつつき | キツツキ科の鳥の総称。木の幹に垂直にとまる。非常にかたいくちばしで木の幹に穴をあけ、長い舌で虫を引き出して食べる。「けら・けらつつき」とも読む。 |
秧鶏 | くいな | クイナ科の鳥の総称。水辺にすみ、ニワトリのように夜明けを知らせることから。 |
水鶏 | ||
熊啄木鳥 | くまげら | キツツキ科の鳥。天然記念物。 |
角鷹 | くまたか | タカ科の大きな鳥。ウサギや鳥などを食べる。 |
鶏冠 | けいとう、 とさか | 【けいとう】ニワトリのとさかに似た植物。 【とさか】ニワトリやキジなどの頭の上にある肉質の冠のような突起。 |
小雀 | こがら | シジュウカラ科の小鳥。ジュウニカラ。 |
小啄木鳥 | こげら | キツツキ科の鳥。キツツキ類の中では最小。 |
五十雀 | ごじゅうから | ゴジュウカラ科の鳥。スズメほどの大きさ。 |
兄鷂 | このり | タカ科の鳥。ハイタカの雄。「鷂」はハイタカという意味。 |
四十雀 | しじゅうから | シジュウカラ科の小鳥。各地の山林にすむ。 |
吐綬鶏 | しちめんちょう | シチメンチョウ科の鳥。漢名はのどの肉だれが綬(飾りひも)を吐いているように見えることから。和名は皮膚の裸出した部分が赤、青、黄色などに変わることから。七面鳥。 |
息長鳥 | しながどり | カイツブリの古名。カイツブリ科の鳥。水の中から出てきて長く息をつくことから。 |
軍鶏 | しゃも | ニワトリの一種。闘鶏用。食用にもなる。シャムから渡来したことから。 |
十姉妹 | じゅうしまつ | カエデチョウ科の小鳥。白地に褐色などのまだらのものが多い。 |
白灯蛾 | しろひとり | ヒトリガ科のガ。全体が白く、夏、灯下に飛んでくる。 |
渚鳥 | すどり | 州にいる鳥。シギやチドリなど。カワセミの別称。 |
脊黄青鸚哥 | セキセイインコ | インコ科の鳥。オーストラリア原産。野生種の羽は緑色だが、白や黄色、青などに品種改良されている。愛玩用。 |
矮鶏 | チャボ | ニワトリの一品種。あしがきわめて短い。原種が、インドシナ半島にあった国、チャンパから渡来したことからという。 |
乙鳥 | つばめ | ツバメ科の鳥。日本へは春に渡来し、秋に南方に渡る。 |
鷸子 | つぶり | カイツブリの別称。カイツブリ科の鳥で、沼や川にすむ。潜水が得意で、小魚を捕食する。 |
雀鷹 | つみ | タカ科の鳥。日本のタカ科の中では最小。 |
雀鷂 | ||
鶤鶏 | とうまる | ニワトリの一品種。体は大きく羽毛は黒い。いい声で長く鳴く。新潟県で改良された。「唐丸」とも書く。 |
朱鷺 | とき | トキ科の鳥。東アジアに分布。全身白色で、翼と尾羽が淡紅色。特別天然記念物。日本では野生のものは絶滅。 |
桃花鳥 | ||
日雀 | ひがら | シジュウカラ科の鳥。森林にすむ。シジュウカラに似るが小型。 |
食火鶏 | ひくいどり | ヒクイドリ科の鳥。オーストラリアにすむ。ダチョウに似る。のどに赤い肉垂れがある。「火食鳥」とも書く。 |
告天子 | ひばり | ヒバリ科の小鳥。春、畑や野原に巣をつくり、空高く舞い上がってさえずる。 |
雲雀 | ||
金翅雀 | ひわ | アトリ科の小鳥の総称。スズメよりやや小さい。「鶸」とも書く。 |
蜀魂 | ほととぎす | ホトトギス科の鳥。初夏、日本に渡来し、初秋に東南アジアへ渡る。多くの表記があり、サナエドリなどの別称も多い。和名は鳴き声からといわれている。 |
杜鵑 | ||
杜宇 | ||
沓手鳥 | ||
子規 | ||
時鳥 | ||
不如帰 | ||
霍公鳥 | ||
郭公 | ||
蜀魄 | ||
珠鶏 | ほろほろちょう | ホロホロチョウ科の鳥。アフリカ原産。食用。 |
雎鳩 | みさご | タカ科の鳥。水辺にすみ、飛びながら魚を探して急降下し足でつかみ取る。和名は、水をさぐるという意味から。「鶚」とも書く。 |
巧婦鳥 | みそさざい | ミソサザイ科の小鳥。巣作りが巧みであることから。「溝三歳」とも書く。 |
鷦鷯 | ||
角鴟 | みみずく | フクロウ科の鳥のうち、頭部に耳状の羽毛をもつものの総称。夜間活動し、小動物を捕食。 |
木菟 | ||
繍眼児 | めじろ | メジロ科の小鳥。山林にすみ、冬は都会にも飛来する。スズメよりやや小さく、背面は黄緑色で、目の周りに白い縁取りがある。「目白」とも書く。 |
仮面梟 | めんふくろう | メンフクロウ科の鳥。顔は白くハート形。「面梟」とも書く。 |
百舌 | もず | モズ科の鳥。低山にすむ。 |
戴勝 | やつがしら | ヤツガシラ科の鳥。体は淡い赤褐色で、背に白黒の横じまがある。頭に髪飾り(勝)を戴いた鳥、という意味。「八首鳥」とも書く。 |
山雀 | やまがら | シジュウカラ科の鳥。山林にすむ。人になれ、芸を覚えるので、神社でおみくじを引く鳥として親しまれた。 |
山翡翠 | やませみ | カワセミ科の鳥。カワセミより大形。渓流沿いにすむ。背面は黒と白のまだら。頭に冠羽がある。 |
山魚狗 | ||
葦雀 | よしきり | ヒタキ科の鳥。アシの中にすみ、「ギョギョシ」とやかましく鳴く。「葭切」とも書く。 |
蚊母鳥 | よたか | ヨタカ科の鳥。タカに似るが、夜行性でカなどの虫を食べる。「夜鷹」とも書く。 |
怪鴟 |
鳥に関する熟字訓は他にもたくさんあるものの、キリがないため『漢検 漢字辞典[第二版]』p1724-1744の「熟字訓・当て字索引」に掲載されている81種類を紹介しました。
同じ読みを持つ熟字訓・当て字
鳥に関する熟字訓・当て字の中で、同じ読みを持つ漢字についてまとめました。
セットで覚えることで、暗記の効率化につながります!
かわせみ
「かわせみ」は「空飛ぶ宝石」とも称されるほど、赤と青の羽が美しい鳥です。
「川蝉」と書くこともできますが、熟字訓では以下の4種が挙げられます。
- 魚狗・・・水中の小魚やザリガニを、狗のように巧みに狩りをする姿から。
- 水狗・・・水辺で狗のように巧みに狩りをする姿から。
- 魚虎・・・水中の小魚やザリガニを、虎のように巧みに狩りをする姿から。
- 翡翠・・・「翡」で赤い羽、「翠」で青い羽を表している。「翡」が雄、「翠」が雌を指すことも。宝石の「翡翠」は、カワセミの美しさから名付けられた。
①~③は狩りの様子から、④は羽の色から構成された熟字訓でした。
やませみ
「かわせみ」とセットで覚えたいのが、「やませみ」。
カワセミ科の鳥であるため、当てられた漢字も「山」+「かわせみ」となっています。
- 山魚狗・・・「山」+「魚狗」より。
- 山翡翠・・・「山」+「翡翠」より。
くいな
「くいな」は絶滅が危惧される夜行性の鳥です。
- 水鶏・・・水辺に生息し、鶏のように夜明けを知らせるから。
- 秧鶏・・・湿原や水田に生息し、鶏のように夜明けを知らせるから。
②の「秧」は、背の低い稲の苗を表す漢字です。
つみ
「つみ」は体長約30cmほどの最小のタカ科ハイタカ属の鳥です。
- 雀鷹・・・雀のように小さい鷹であることから。
- 雀鷂・・・雀のように小さく、鷂(ハイタカ)属の一種であることから。
どちらも雀のように小さいことが強調されています。
とき
ペリカン目トキ科の鳥で、特別天然記念物や国際保護鳥に指定されている鳥です。
国字を使って「鴇」とも書けますが、
- 朱鷺・・・朱色の羽と持つ鳥であることから。鷺は同じペリカン目の鳥。
- 桃花鳥・・・桃色の花のような羽を持つ鳥であることから。
どちらも羽の色から漢字を当てています。
鷺とは飛び方こそ違うものの、同じペリカン科であるため姿は似ています。
ひばり
「ひばり」はスズメ目ヒバリ科の鳥で、雀よりもやや大きいサイズ感です。
- 告天子・・・元々は「告天子」というヒバリ科コウテンシ属の別種を表していた。現在はヒバリ属でも使用される。
- 雲雀・・・雀と似ていて、雲に届きそうなくらい空高く舞うことから。
①は中国由来のコウテンシが、日本ではヒバリとしても使われるようになったというもの。
②については、ヒバリの高く飛ぶ生態に即した意味となっています。
ほととぎす
「ほととぎす」はホトトギス目ホトトギス科の鳥で、カッコウ目カッコウ科と表されることもあります。
熟字訓・当て字の中で、表現の仕方が最多で、漢検漢字辞典には10個も掲載されています。
また、ホトトギスという植物も熟字訓として存在しているため、「ほととぎす」と読む語はさらに多いです。
ホトトギスの漢字の由来については、以下の記事をご覧ください。
みそさざい
「みそさざい」はスズメ目ミソサザイ科で、全長約10cmという小ささの鳥です。
- 巧婦鳥・・・雄は巣作りが巧みで、一夫多妻の鳥であることから。
- 鷦鷯・・・ミソサザイの漢名「鷦鷯」から。
①はミソサザイの2つの特徴を表した漢字となっており、②は中国由来の表し方となっています。
みみずく
「みみずく」はフクロウ目フクロウ科のうち、頭部に耳のように見える長い羽毛を持つ鳥の総称です。
- 木菟・・・木の上の莵を意味する。羽毛がウサギの耳に見えたことから。
- 角鴟・・・角が生えた鴟に見えることから。
どちらも特徴的な耳のような羽毛を強調する表現となっています。
よたか
「よたか」はヨタカ目ヨタカ科に属し、約30cmほどの夜行性の鳥です。
「夜鷹」と書くこともできますが、熟字訓としては以下の2種類が代表的。
- 蚊母鳥・・・飛んでいる蚊などの虫を食べる鳥だから。「蚊母鳥」とも呼ばれる。
- 怪鴟・・・「鴟」はトビをはじめとする低く飛んで獲物をとる鳥のこと。ヨタカは気味の悪い鳥として扱われていた。
①はヨタカの虫を捕食する習慣から、②はヨタカに対するイメージである「怪」と狩りの様子を組み合わせた漢字のようです。
紛らわしい熟字訓・当て字
大雑把に覚えていると答えに困ってしまう、まぎらわしい熟字訓の組み合わせを抜粋します。
「鶏」がつく熟字訓
鳥に関する熟字訓で一番厄介だと思われるのが「鶏」がつくもの。
特に2文字のものは、聞き慣れない言葉が多いため、暗記に一苦労です。
※太字になっている熟字訓・当て字は、過去の漢検1級本試験にて出題されたものです。
漢字 | 読み | 解説 |
花鶏 | あとり | 鳥綱スズメ目アトリ科アトリ属に分類される鳥類の一種。 |
黄鶏 | かしわ | 羽毛が茶色のニワトリ。ニワトリの肉。 |
秧鶏 | くいな | クイナ科の鳥の総称。水辺にすみ、ニワトリのように夜明けを知らせることから。 |
水鶏 | くいな | クイナ科の鳥の総称。水辺にすみ、ニワトリのように夜明けを知らせることから。 |
軍鶏 | しゃも | ニワトリの一種。闘鶏用。食用にもなる。シャムから渡来したことから。 |
矮鶏 | チャボ | ニワトリの一品種。あしがきわめて短い。原種が、インドシナ半島にあった国、チャンパから渡来したことからという。 |
鶤鶏 | とうまる | ニワトリの一品種。体は大きく羽毛は黒い。いい声で長く鳴く。新潟県で改良された。「唐丸」とも書く。 |
珠鶏 | ほろほろちょう | ホロホロチョウ科の鳥。アフリカ原産。食用。 |
「珠鶏」に関しては、漢検1級で2013年度第1回、2015年度第2回、2019年度第2回と10年間で3回も出題されている常連問題です。
漢字の意味から覚えたり、繰り返し問題を解いたりして、混乱しないようにしておきましょう。
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再リリースの準備が整い次第、このサイト上でお知らせします。
- 日本漢字能力検定協会(2015)『漢検 漢字辞典[第2版]』
- 新村出編(2018)『広辞苑 第七版』,岩波書店
- 新潮社編(2007)『新潮日本語漢字辞典』,新潮社
- 藤堂明保他(2019)『漢字源 改訂第六版』, 学研プラス
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