「魚へんに甾」と書いて表される「鯔」。
漢検1級レベルのこの漢字は、「ぼら」と「いな」という2つの読み方を持っており、どちらも魚の名前となっています。
2種類の魚の違いについて触れたうえ、つくりである「甾」の読みや意味についても解説します。
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めもの内容
魚へんに甾で【鯔(ぼら)】
鯔の読み方はこちら。
【鯔】
- 音読み:シ
- 訓読み:ぼら、いな
- 漢検級:1級(大学・一般レベル)
「輜」や「緇」、「錙」などと共通していますが、音読みは「シ」です。
ただし、音読みとして使われることはめったにありません。
訓読みは「ぼら」と「いな」とありますが、実はボラは出世魚であり、ボラと呼ばれる前の段階をイナと言います。
2種の魚を表しているように見え、実際は同じ魚を指しているということです。
また、ボラの場合は「鯔」の他にも「鰡」と表すことができます。
関東においては、ボラは以下のように呼び方が変わります。
オボコ | 幼い様子を表す「おぼこい」が語源 |
イナッコ | イナよりさらに小さい。「鯔っ子」 |
スバシリ(鯐) | 水面をジャンプするように泳ぐ様子から(「州走」) |
イナ(鯔) | 「鯔背(いなせ)」の語源。 |
ボラ(鯔、鰡) | |
トド | ボラが成熟しきった姿。「とどのつまり」の語源。 |
ちなみに、高知県ではボラの最終形態は鮱と言います。
漢字からも名前からもベテラン感が漂っていますよね。
【鮱】「魚へんに老」の読み方は?漢字の成り立ちまで解説!
「魚へんに老」と書いて表される「鮱」。漢検1級レベルのこの漢字は、国字(日本で作られた漢字)の一つです。出世魚であるボラの最終形態を表します!
「鯔」の字源?
つくりである「甾」には、次のような読み方があります。
【甾】
- 音読み:シ
- 訓読み:かめ
- 漢検級:✕(表外漢字)
かめというのは、亀ではなく容器の瓶です。
訓読み自体は鯔とはあまり関係が無いような気がします。
音読みのほうが字源としては濃厚で、鯔の表面が黒いことから「緇い」と同じつくりが当てられたという説がありました。
同じ魚を指すと言えど、イナとボラが同じ漢字って分かりづらいですね。
イナは鯔、ボラは鰡で使い分ければいいのに‥‥と思ってしまいます。
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参考文献
- 日本漢字能力検定協会(2015)『漢検 漢字辞典[第2版]』p627
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